エンジニア採用を成功に導くコツは?手法や媒体を解説
本記事では、エンジニア採用を行う前に考えておくべき要素と、エンジニア採用の手法や媒体、採用のポイントなどをお伝えします。
目次
1.IT・通信業界の現状
1-1 深刻なIT人材の不足
エンジニア採用が苦戦しやすい背景として、まずは業界全体のIT人材の不足が挙げられます。下のグラフは、経済産業省によるIT人材の現状の不足規模と今後の予想です。
IT人材が2020年には約37万人、2030年には約79万人不足するという試算になっています。これはグラフを見てわかるとおり、人材の減少というよりは、市場規模の拡大が予想されるためです。この数字を鑑みて、小学生のプログラミング教育を行うといった国を挙げた動きが出てきているのです。
1-2 2019年4月時点の有効求人倍率
では、求人倍率がどうなっているのかも参考として見てみましょう。転職求人倍率レポートによれば、2019年4月時点でIT・通信業は6.3倍、さらに職種別で見ても技術系は8.5倍と、他業種・職種に比べて圧倒的に競争率が高くなっています。IT人材は文字通り、企業間での奪い合いが発生しているのが現状です。
2.エンジニア採用の前に―多くの企業は採用の課題が定まっていない?
IT人材の獲得に苦戦してしまう社会的背景ははっきりとしていますから、エンジニアの採用、定着、育成は企業の死活問題となります。当然対策が必要なのですが、FLEXYにご相談いただく企業の多くは、そもそも採用計画が定まっていないケースが多いのが現状です。
その原因を掘り下げていくと…
・トップダウンのせいで採用の人数目標が決められてしまう、あるいは決まらない ・1~2年先の組織のベストなあり方が描けていない ・経営者が採用計画を考えきれていない、あるいは経営者目線で考えられる人材がいない ・採用に関するナレッジが蓄積されておらず、ノウハウを収集できない
つまり、採用に関して「うまくいっていない」という抽象的な危機感は強いものの、具体的なアクションを起こせない状態に陥っている企業が多いのです。
ではこういった企業が具体的にどんな部分に「うまくいっていない」という課題感を抱いているかというと、これも多種多様です。
>【課題は何か?】
・プロダクト開発の遅れや事業の停滞 ・プロジェクトに対する適切なエンジニアリソースの質・量がわからない =エンジニア体制がどうあるべきかわからない ・正しい技術選択ができているか不安 ・製品の品質が悪い ・セキュリティに不安がある ・外注で開発したがゆえに技術スタックがわからず、保守ノウハウが蓄積できていない ・エンジニアとの意思疎通がうまくいかず、組織がギスギスしている ・エンジニアが定着しない ・エンジニアの応募が少ないが、適切な採用方法がわからない ・人的コストの最適解がわからない、高く感じる ・パソコンや外部ディスプレイ、キーボード、ソフト、ツールなどの購入判断が正しいかわからない etc…
エンジニア採用を考える前には、まずはこれらの課題整理が必要になります。
3.エンジニア採用の前に―課題を4軸で整理する方法
上記に羅列した企業の課題の多くは、4軸で整理することができます。
- 開発体制
- 製品品質
- パフォーマンス
- コスト
これらは絶対的な正解ではありませんが、課題解決プロセスに有効活用できるフレームワークです。 自社の課題を理解した上で、採用に望むことが重要であり、入社後のミスマッチを減らし、離職率も大幅に減少することが出来ます。
4.エンジニア採用の3パターンと媒体
課題整理の上でエンジニア採用を行うわけですが、どんな開発体制をつくるのかについては、企業の事情に合わせて最適な体制を決める必要があります。 ただ、基本的に採用パターンは中途、新卒・第二新卒、業務委託(一括請負、フリーランス、アルバイト)の3つです。
この3パターンで獲得した人材をどう上手く組織していくのか、という話になります。 まずは、それぞれのパターンでどのような採用手段や媒体があるのかを改めて確認しましょう。
4-1 中途採用
中途採用の最適な手段は、プロジェクトの性質や会社のフェーズによって異なりますから、手法は独自にアレンジしていく必要があります。代表的な手段は4つなので、これらの組み合わせとなるでしょう。
<リファラル>
ここ数年、ブームになってきているのがリファラルです。リファラルは社員の紹介による採用のことで、紹介ですから基本的にコストは不要です。ただ、リファラル採用が成立したら紹介した社員にはボーナスを与えるといったコストは考えられます。 リファラル採用のエンジニアはモチベーションが高く、離職率も低いと言われます。リファラルを上手く活用できれば強固な組織を拡大していけるため、中途採用においてはできればリファラルを機能させたいところです。 ただし、企業そのものの魅力が強い、満足度の高い働き方ができる環境があるといったファクターがない限りは、リファラルをしたからといって採用が成功するとは限らないでしょう。
<ダイレクトリクルーティング>
求人広告を出して応募を待つのではなく、企業側からエンジニアにアプローチをかけるスタイルです。 Wantedlyや転職ドラフトといったサービスが活用できます。
<媒体>
求人サイトをはじめとした媒体を通して求人広告を出す、昔ながらの採用手法です。 中途採用においてはリクナビNEXT、doda、ビズリーチなどが有名です。
<中小規模エージェント>
転職エージェントを通して、求めるエンジニアを一本釣りしてもらう手法です。採用規模は1人~数人までさまざまです。
4-2 新卒・第二新卒
新卒の採用バリエーションは少なく、さほどアレンジする要素もありません。
<大学側へ直接リーチする>
大学の就活課などに協力してもらう形です。キャリタスUC、CAST、求人受付NAVIの三大サービスに登録しておけば、日本の大学は網羅できるでしょう。
<大手採用媒体の活用>
リクナビ、マイナビ、OfferBoxといった大手採用媒体を活用するのが第二の方法です。媒体側が開催するイベントや合同説明会にブースを出したり、講演に参加することで学生の呼び込みも行えます。
この他、若手社員から後輩を紹介してもらうといったリファラルに近い形で採用を行うことも可能ではありますが、中途採用と同じくなかなか開拓が難しい方法です。
新卒・第二新卒採用の場合は、手段よりも始動時期が重要になります。例えば大手企業で優秀な学生を採用したい場合はとにかく早期に動き始める必要がありますが、そうではない中小企業の場合、上位層の獲得は難しくなります。そこで、大手企業からこぼれた学生を採用するために、あえて開始時期をずらすといった作戦をとるわけです。
4-3 業務委託(一括請負、フリーランス、アルバイト)
業務委託の場合は、採用というよりもリソース調達の手段としての側面が強くなります。編成はやはり企業の抱える事情ごとに最適化が必要です。 例えば、あるプロジェクトをサブプロジェクト化して一括で外注すべきパターン。フルタイムのフリーランスが数名必要なパターン。週2日稼働のアルバイトで事足りるパターンなど、ケースはさまざまです。
業務委託の場合は中途・新卒のように明確な手段が確立されていません。過去のプロジェクト経験のツテを利用したり、信頼できる友人にエンジニアを推薦してもらうなど、自分たちが持ち得る情報を駆使して採用手段を模索することになります。 Wantedlyからの飛び込み応募を採用することも考えられますが、その人材がどの程度のパフォーマンスを発揮できるのかは賭けになりがちです。
5.エンジニア採用で会社と魅力となるポイントとは?
転職先を探しているエンジニアが重要視するポイントは2つあります。
1)エンジニア自身が楽しめる技術が採用されているか 組織がどのような技術を使っているのかは、エンジニア自身がその組織で楽しんで仕事をできるか、またはエンジニアとして成長できるのかという要素に関わります。
最近のトレンドで言えば、クラウドを使っているのかどうか。その中でもできればAzureではなくGCPやAWSがいいといった具合です。言語なら、レガシーなJavaやCよりも、RubyやGoを使えることがメリットとなるケースが多いでしょう。
2)組織そのものの魅力 魅力的なサービスを扱っていることはもとより、福利厚生など働きやすい制度が充実していることもかなり重要です。 ここでポイントになるのは、「企業側は気づいていないが、実はエンジニアにとっては魅力となる制度がすでに存在しているかもしれない」ということです。新たな制度を作り上げることに加え、既存の制度から魅力を再発見できるかもしれないということです。