ITストラテジスト試験とは?合格率・難易度やおすすめ勉強方法を徹底解説

ITストラテジスト 試験

ITストラテジスト試験とは、ITを活用して経営戦略や事業計画などを立案・実行するエンジニア「ITストラテジスト」に不可欠な能力を証明できます。本記事では、ITストラテジスト試験対策を進める方に向けて、合格率や難易度、効果的な勉強方法などをまとめました。受験を検討する方は、ぜひご活用ください。

ITストラテジスト試験とは?

「ITストラテジスト試験」は、経済産業省管轄の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験です。「高度情報処理技術者試験」のひとつであり、IT戦略の立案・実行の能力を評価することを目的としています。

以下より、具体的な試験内容やスケジュールを確認してみましょう。

ITストラテジスト試験の試験内容

  1. 午前Ⅰ(四肢択一式)全30問
  2. 午前Ⅱ(四肢択一式)全25問
  3. 午後Ⅰ(記述式)3問のうち2問を選択解答
  4. 午後Ⅱ(論述式)2問のうち1問を選択解答

試験は「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」の4つに分かれています。最初の午前Ⅰが9:30スタート、最後の午後Ⅱは16:30終了と、長丁場になる点に注意が必要です。試験ごとに基準点が設けられており、すべて基準点を上回ることで合格と見なされます。

ITストラテジスト試験のスケジュール

【令和6年度(2024年度)の試験日程】

  • 試験申込期間:令和6年1月19日〜2月7日
  • 受験票発送:令和6年4月初旬
  • 試験実施日:令和6年4月21日
  • 合格発表:令和6年7月4日

ITストラテジスト試験は年に1回、春期に実施されます。令和6年度(2024年度)はすでに終了しているため、これから受験を考えている方は令和7年度の受験を目指しましょう。試験実施は4月ですが、申込期間は1~2月と早めに設定されているので、こまめにチェックすることをおすすめします。なお、受験手数料は7,500円です。

ITストラテジスト試験は役に立たない?取得するメリット

情報処理技術者試験には多くの試験区分があるため、ITストラテジスト試験を取得するメリットをイメージしづらいかもしれません。しかし、「専門性の証明」や「キャリアアップ」などのメリットが得られます。

IT戦略の高度な専門性を証明できる

ITストラテジスト試験は、経済産業省が認定する国家資格です。民間団体や企業が認定するものを含めて、IT関連の資格は多岐にわたりますが、その中でも国家資格は認知度が高い傾向にあります。

信頼性のある国家資格を保有することで、高度な専門性を証明できる点がメリットで、IT戦略と企業の経営戦略を統合的に考え、実行できる能力を示せるでしょう。

キャリアアップにつながる

資格取得によって、ITと経営の両面に精通した高度な専門性を備えていることを企業から評価してもらえるため、昇進や新たな役職へ挑戦しやすくなります。

主なキャリアパスは以下の通りです。

  • ITコンサルタント
  • CIO(企業のIT戦略における最高責任者)
  • 情報システム部門長
  • ITサービスマネージャー

また、資格取得によって得た知識とスキルは、実務においてもそのまま活用可能です。即戦力として、新しいプロジェクトや業務に積極的に臨めます。

ITストラテジスト試験のデメリット

ITストラテジストは資格が必須の職種ではないため、保有するだけでは企業からの評価が限定的になる場合があります。実際、資格よりも実務経験や具体的な成果を重視する企業が多く見受けられます。

また、ITストラテジスト試験の内容は、実務に直接関わる事柄のほか、企業や業界特有の状況を踏まえて柔軟な対応が求められるケースも多いです。

ITストラテジスト試験の合格率・難易度

ITストラテジスト試験は、簡単に合格できるものではありません。例年の合格率を参考にしつつ、難易度の程度を知っておきましょう。

ITストラテジスト試験の合格率

  • 2019年度:受験者4,938名 合格率15.4%(合格者758名)
  • 2021年度:受験者3,783名 合格率15.3%(合格者579名)
  • 2022年度:受験者4,450名 合格率14.8%(合格者660名)
  • 2023年度:受験者4,972名 合格率15.5%(合格者769名)
  • 2024年度:受験者5,327名 合格率15.8%(合格者842名)

※2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止

受験者は例年4000名前後、合格率は15%前後で推移しています。ただし、「システムアーキテクト試験」や「ネットワークスペシャリスト試験」、「ITサービスマネージャ試験」など、他の区分の合格率と比べて極端に低いわけではなく、高度情報処理技術者試験の合格率はいずれも15%前後です。

試験ごとの受験者数や合格者数をより細かく確認したい方は、以下サイトの「主な統計情報」から推移表を参考にしてください。

出典:統計情報| IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

ITストラテジスト試験の難易度

ITストラテジスト試験は、IT系資格の中でも特に難易度が高いです。理由のひとつとして、試験を4つに分けて実施される特殊な出題形式が挙げられます。午前は四肢択一式の試験が2つ、午後は記述式と論述式の試験が実施されており、1日ですべてを受験する体力と集中力が求められます。

中でも特に難関とされるものが、午後Ⅱの論述試験です。四肢択一式では、正確に用語を覚えていなくても解答できる場合がありますが、論述試験では的確な文章で解答しなければなりません。出題範囲も広く、ITに関する専門知識が求められる点が難しいといわれています。

なお、受験にあたって特別な資格や学歴、実務経験は不要で、老若男女問わず誰でも受験可能です。また、一定の条件を満たす場合は、午前Ⅰ試験を免除できる制度が用意されています。

出典:午前Ⅰ試験免除|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

ITストラテジスト試験に必要な学習時間の目安

一般的には、約200時間の学習時間が必要とされていますが、個人差があります。1,000時間以上かけて合格した人もいれば、わずか数十時間で合格した人もいるため、あくまでも目安として考えましょう。

IT業界での実務経験がある人でも、約2年間をかけて計画的に学習することは珍しくありません。知識と経験がまったくない状態からのスタートともなれば、より長い時間と計画的な学習が不可欠です。

【試験別】ITストラテジスト試験の勉強方法

4つの試験それぞれのポイントと勉強方法を解説します。出題内容を正しく把握し、適切な対策を講じましょう。

午前Ⅰ試験の勉強方法

午前Ⅰ試験の出題数は30問、試験時間は50分、四肢択一式で実施されます。100点満点中60点を取ると合格です。「テクノロジ系」「マネジメント系」「ストラテジ系」の3つの分野から、基礎問題が出題されます。基本的な用語を覚えることはもちろん、過去の出題傾向を把握しておくことも重要です。

問題は同時刻に実施される、「応用情報技術者試験」と同じ内容になっています。応用情報技術者試験で出題される80問のうち、30問がITストラテジスト試験の午前Ⅰ試験にも使われる仕組みです。つまり、応用情報技術者試験の過去問を徹底的に解くことで、出題範囲をカバーできます。

【過去の出題例】

  • 量子ゲート方式の量子コンピューターの説明として、適切なものはどれか。
  • ストアドプロシージャの利点はどれか。

午前Ⅱ試験の勉強方法

午前Ⅱ試験の出題数は25問、試験時間は40分、午前Ⅰと同様に四肢択一式で実施されます。合格点は100点満点中60点です。午前Ⅰの出題範囲と重なる部分も多く見られますが、より専門的な知識が問われるでしょう。

対策としては、午前Ⅰと同様に過去問を繰り返し解くことが基本です。ストラテジ系の問題が大部分を占めているため、重点的に学習しましょう。

【過去の出題例】

  • 組み込み型⾦融(Embedded finance)の事例はどれか。
  • アンゾフの成長マトリクスにおける多角化戦略に当てはまるものはどれか。

午後Ⅰ試験の勉強方法

午後Ⅰ試験の試験時間は90分で、3問のうち2問を選択解答する記述式で実施されます。100点満点中60点を取ると合格です。架空の企業が抱える経営問題と、その対策についての問題が出題され、文章を記述して解答します。

午後Ⅰでは自分の考えではなく、客観的な事実をありのままに解答することが求められるので、過去問を用いた問題演習を基本としつつ、問題文や設問の意図を正確に理解する練習も欠かせません。

【過去の出題例】

  • インターネットサービス事業者による総合金融サービスの提供に関する次の記述を読んで、設問に答えよ

午後Ⅱ試験の勉強方法

午後Ⅱ試験の試験時間は120分で、2問のうち1問を選択解答する論述式で実施されます。A~Dまでの4段階で評価され、Aランクで合格と見なされます。客観的な事実を解答する午後Ⅰとは異なり、筋道を立てた自分の考えを解答しなければならないため、難易度が高いといえるでしょう。

問題文を読んだ後、3つの設問に答える必要があり、合計3,000字前後の記述が求められます。論文の書き方を学んだ上で、過去問を用いて実際に書く練習を繰り返すことが重要です。また、論文の内容がITストラテジストの視点に沿っているかも評価されます。

【過去の出題例】

「新しいビジネスモデルの策定について」
あなたが携わった新しいビジネスモデルの策定について、背景にある事業概要と事業戦略を、事業特性とともに800字以内で述べよ。

ITストラテジスト試験の過去問と解答例は、以下のサイトより確認できます。試験対策の参考にしてみてください。

出典:過去問題|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

まとめ

ITストラテジスト試験を取得すると、高度なIT戦略の専門性を証明できる上、キャリアアップにつながるメリットもあります。例年の合格率は15%前後と容易な試験ではありませんが、自分のスキルや知識を客観的に証明したい方は、取得を目指してみましょう。

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