Amazon RDSとは?選べる6つのエンジンの特徴、料金について解説
Amazon RDSを使用するにあたり把握しておきたいのが、利用できるデータサービスエンジンの種類とそれぞれの特徴です。Amazon RDSの概要から特徴、エンジンの種類、さらにメリットや料金についてもお伝えします。効率的なデータベース管理ができるAmazon RDSの運用や導入について知りたい方は、ぜひご覧ください。
目次
Amazon RDS(マネージドリレーショナルデータベース)とは?
Amazon RDSは「Amazon Relational Database Service」の略で、AWS(Amazon Web Services)が提供しているリレーショナルデータベースのサービスです。オンプレミス型とは違い、サーバの購入や設定、OSのインストールなどが不要で、契約後すぐにAWS上でデータベースを構築できるのが大きな特徴です。
ストレージ容量の追加も簡単で拡張性が高く、自動的にバックアップされるためデータベースの管理・運用の手間がかかりません。さらに、リードレプリカを利用すればデータベースにかかる負荷を分散させられるので、専用の管理画面から構築や変更が簡単に行え、コスト削減にも寄与します。
Amazon RDSで選べる6つのエンジン
Amazon RDS上で利用できるデータベースエンジンは、以下の6種類です。利用方法によっては大幅なコスト削減や作業効率化ができます。
1. Amazon Aurora
AmazonがAWS向けに最適化するよう独自開発したデータベースエンジンです。一般的に用いられているMySQLやPostgreSQLと互換性があり、性能は数倍に達します。。しかし、コストは商用データベースの約10分の1という、高機能・低コストを実現したエンジンです。また、自動バックアップ機能を備えており、設定した保持期間(1~35日)に継続的・増分的にバックアップが取得されます。
〇メジャーバージョン(2024年6月現在)
- MySQL 8.0
- MySQL 5.7 標準サポート終了 延長サポート
- PostgreSQL 11 標準サポート終了 延長サポート
- PostgreSQL 12
- PostgreSQL 13
- PostgreSQL 14
- PostgreSQL 15
- PostgreSQL 16
〇マイナーバージョン(2024年6月現在)
- 2.11(Community MySQL 5.7.12 との互換性)
- 2.12 (Community MySQL 5.7.40 または 5.7.443 と互換)
- 3.03(Community MySQL 8.0.26 との互換性)
- 3.04 (Community MySQL 8.0.28 との互換性)
- 3.05 (Community MySQL 8.0.32 との互換性)
- 3.06(Community MySQL 8.0.34 との互換性)
※2.11と2.12はメジャーバージョンが Amazon RDS 延長サポート期間中でも引き続き利用可
2. Amazon RDS for MySQL
MySQL はOracle社が提供するオープンソース型のデータベースエンジンで、Amazon RDSではMySQLのすべての機能が利用できます。すでに利用している場合でも、簡単にAmazon RDSに適用できます。初心者でも扱いやすい操作のシンプルさが特徴で、世界的にも広く利用されているデータベースのひとつです。セキュリティは前出のAuroraと同レベルです。
〇メジャーバージョン(2024年6月現在)
- MySQL Community Edition 8.0
- MySQL Community Edition 5.7
〇マイナーバージョン(2024年6月現在)
- 8.0.32
- 8.0.33
- 8.0.34
- 8.0.35
- 8.0.36
3. Amazon RDS for PostgreSQL
PostgreSQLもオープンソース型のデータベースエンジンで、WindowsやMacOSでも使用できるマルチプラットフォーム対応が特徴です。豊富な機能や拡張性の高さに定評があり、それらを活かしたバックエンド処理にも優れています。Amazon RDS上で利用することで、複雑な管理タスクの処理能力が上がり、コスト削減効果もアップします。
(2024年6月現在)
〇メジャーバージョン
- PostgreSQL 11
- PostgreSQL 12
- PostgreSQL 13
- PostgreSQL 14
- PostgreSQL 15
- PostgreSQL 16
- PostgreSQL 17
〇マイナーバージョン
(バージョン11)
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 11.22-R2 標準サポート終了 延長サポート
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 11.22 標準サポート終了 延長サポート
(バージョン12)
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 12.19
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 12.18-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 12.18
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 12.17-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 12.17
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 12.16-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 12.16
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 12.15
(バージョン13)
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 13.15
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 13.14-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 13.14
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 13.13-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 13.13
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 13.12-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 13.12
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 13.11-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 13.11
(バージョン14)
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 14.12
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 14.11-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 14.11
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 14.10-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 14.10
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 14.9-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 14.9
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 14.8-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 14.8
(バージョン15)
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 15.7
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 15.6-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 15.6
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 15.5-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 15.5
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 15.4-R3
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 15.4-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 15.4
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 15.3-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 15.3
(バージョン16)
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 16.3
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 16.2-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 16.2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 16.1-R2
- Amazon RDS の PostgreSQL バージョン 16.1
- Amazon RDS Preview 環境の PostgreSQL バージョン 16.0
- Amazon RDS Preview 環境の PostgreSQL バージョン 16 RC1
- Amazon RDS Preview 環境の PostgreSQL バージョン 16 Beta 3
- Amazon RDS Preview 環境の PostgreSQL バージョン 16 Beta 2
- Amazon RDS Preview 環境の PostgreSQL バージョン 16 Beta 1
(バージョン17)
- Amazon RDS Preview 環境の PostgreSQL バージョン 17 ベータ 1
4. Amazon RDS for MariaDB
前出のMySQLから派生したデータベースエンジンで、こちらもオープンソース型です。操作や使い方はMySQLと共通点が多いですが、クラスター構成が可能であったり負荷を分散させたりする点ではMySQLよりも優れています。処理能力の高さや拡張性、セキュリティ面に優れているため、多くの場合ビッグデータの集計に用いられます。
(2024年6月現在)
〇メジャーバージョン
- MariaDB 10.11
- MariaDB 10.6
- MariaDB 10.5
- MariaDB 10.4
〇マイナーバージョン
- 10.11.7
- 10.11.6
- 10.11.5
- 10.11.4
- 10.6.17
- 10.6.16
- 10.6.15
- 10.6.14
- 10.6.13
- 10.5.24
- 10.5.23
- 10.5.22
- 10.5.21
- 10.5.20
- 10.4.33
- 10.4.32
- 10.4.31
- 10.4.30
- 10.4.29
5. Amazon RDS for SQL Server
Microsoft社が開発したデータベースエンジンのため、Windowsとの相性がよいです。Amazon RDSではフルマネージド型での利用となるので、設定やセットアップ、データベース管理などのタスクを任せられます。オープンソース型ではないので、利用に際しては有償で、料金にはライセンス費用(ソフトウェア・ハードウェアリソース・ Amazon RDS マネジメント機能)が含まれます。
(2024年6月現在)
〇メジャーバージョン
- SQL Server 2022 Enterprise、Standardおよび Web Edition
- SQL Server 2019 Enterprise、Standardおよび Web Edition
- SQL Server 2017 Enterprise、Standardおよび Web Edition
- SQL Server 2016 Enterprise、Standardおよび Web Edition
- SQL Server 2014 Enterprise、Standardおよび Web Edition
〇マイナーバージョン
SQL Server 2022
- 16.00.4120.1(CU12 GDR)
- 16.00.4115.5(CU12)
- 16.00.4105.2(CU11)
- 16.00.4095.4 (CU10)
- 16.00.4085.2(CU9)
SQL Server 2019
- 15.00.4365.2 (CU26)
- 15.00.4355.3 (CU25)
- 15.00.4345.5 (CU24)
- 15.00.4335.1 (CU23)
- 15.00.4322.2(CU22)
- 15.00.4316.3(CU21)
- 15.00.4312.2(CU20)
- 15.00.4236.7 (CU16)
- 15.00.4198.2 (CU15)
- 15.00.4153.1 (CU12)
- 15.00.4073.23(CU8)
- 15.00.4043.16 (CU5)
SQL Server 2017
- 14.00.3465.1 (CU31)
- 14.00.3460.9 (CU31)
- 14.00.3451.2 (CU30)
- 14.00.3421.10 (CU27)
- 14.00.3401.7 (CU25)
- 14.00.3381.3 (CU23)
- 14.00.3356.20 (CU22)
- 14.00.3294.2 (CU20)
- 14.00.3281.6 (CU19)
SQL Server 2016
- 13.00.6435.1 (GDR)
- 13.00.6430.49 (GDR)
- 13.00.6419.1 (SP3 + 修正プログラム)
- 11.00.6020.0(SP3)
SQL Server 2014
- 12.00.6449.1 (SP3 CU4 GDR)
- 12.00.6444.4 (SP3 CU4 GDR)
- 12.00.6439.10 (SP3 CU4 SU)
- 12.00.6433.1 (SP3 CU4 SU)
- 12.00.6329.1(SP3 CU4)
- 12.00.6293.0(SP3 CU3)
6. Amazon RDS for Oracle
Oracleは世界で初めて採用されたデータベースエンジンで、その歴史は古く、法人利用率も高いのが特徴です。セキュリティ性に優れていて、世界中の大手企業で利用されています。こちらもAmazon RDSではフルマネージド型での利用で、移行もスムーズなので面倒な作業は必要ありません。利用に際しては有償で、オープンソース型ではありません。
(2024年6月現在)
〇メジャーバージョン
- Oracle Database 21c (21.0.0.0)
- Oracle Database 19c (19.0.0.0)
〇マイナーバージョン
-Oracle Database 21c (21.0.0.0)
- Version 21.0.0.0.ru-2024-04.rur-2024-04.r1
- Version 21.0.0.0.ru-2024-01.rur-2024-01.r1
- Version 21.0.0.0.ru-2023-10.rur-2023-10.r1
- Version 21.0.0.0.ru-2023-07.rur-2023-07.r1
- Version 21.0.0.0.ru-2023-04.rur-2023-04.r1
- Version 21.0.0.0.ru-2023-01.rur-2023-01.r2 and Version 21.0.0.0.ru-2023-01.rur-2023-01.r1
- Version 21.0.0.0.ru-2022-10.rur-2022-10.r1
- Version 21.0.0.0.ru-2022-07.rur-2022-07.r1
- Version 21.0.0.0.ru-2022-04.rur-2022-04.r1
- Version 21.0.0.0.ru-2022-01.rur-2022-01.r1
-Oracle Database 19c (19.0.0.0)
- 19.0.0.0.ru-2024-04.rur-2024-04.r1
- 19.0.0.0.ru-2024-01.rur-2024-01.r1
- 19.0.0.0.ru-2023-10.rur-2023-10.r1
- 19.0.0.0.ru-2023-07.rur-2023-07.r1
- 19.0.0.0.ru-2023-04.rur-2023-04.r1
- 19.0.0.0.ru-2023-01.rur-2023-01.r2 and 19.0.0.0.ru-2023-01.rur-2023-01.r1
- 19.0.0.0.ru-2022-10.rur-2022-10.r1
- 19.0.0.0.ru-2022-07.rur-2022-07.r1
- 19.0.0.0.ru-2022-04.rur-2022-04.r1
- 19.0.0.0.ru-2022-01.rur-2022-01.r1
- 19.0.0.0.ru-2021-10.rur-2021-10.r1
- 19.0.0.0.ru-2021-07.rur-2021-07.r1
- 19.0.0.0.ru-2021-04.rur-2021-04.r1
- 19.0.0.0.ru-2021-01.rur-2021-01.r2 and 19.0.0.0.ru-2021-01.rur-2021-01.r1
- 19.0.0.0.ru-2020-10.rur-2020-10.r1
- 19.0.0.0.ru-2020-07.rur-2020-07.r1
- 19.0.0.0.ru-2020-04.rur-2020-04.r1
- 19.0.0.0.ru-2020-01.rur-2020-01.r1
- 19.0.0.0.ru-2019-10.rur-2019-10.r1
- 19.0.0.0.ru-2019-07.rur-2019-07.r1
Amazon RDSの料金
Amazon RDSを利用する際は、セットアップ料金はかかりませんが、データベース本体の利用料・データのストレージ料金・通信料が発生します。
料金体系には、従量課金制と定額制の2種類があります。従量課金制は使用した分のみ料金が発生するので、短期間で使用する場合におすすめです。
年単位での使用であれば、割引制度がある定額制の方がお得です。1年契約または3年契約にした場合には「リザーブドインスタンス」という割引サービスが利用でき、全額払いを選ぶと大幅に割引されます。一部前払いの場合は、前払いした分を差し引いた金額を、期間内に割引時間単価で計算した料金を支払います。前払いなしの場合は、期間内に割引時間単価で計算した料金を支払います。
Amazon RDSのメリット
Amazon RDSが世界中の企業で利用されているのは、以下に挙げるメリットがあるからです。
低コストでデータベース構築を行える
Amazon RDSは、オンプレミス型よりもデータベースの構築や運用が簡単かつ低コストです。データベース構築の基本的なリソースはAWS側が提供してくれます。したがって、ユーザー側は使用したいRDBMSやストレージを選択するだけで数分にて構築が完了し、面倒な設定や管理の手間が省けます。
メンテナンス不要で使える
オンプレミス型の場合は、サーバラックを設置し、OSやRDBMSをメンテナンスすることが必要です。一方Amazon RDSは、AWS側が自動的にメンテナンスを行ってくれます。ユーザーが指定した日時や頻度で実施してくれるので、使用環境に合わせてカスタマイズできるのもメリットです。これにより、オンプレミス型での管理・運用に発生するコストの大幅ダウンが実現します。
高セキュリティ環境下で使用できる
Amazon RDSでは「AWS CloudHSM」「AWS Key Management Service」など、AWSが提供する暗号化サービスを使用できます。セキュリティ対策は経営課題でもありますが、データベースを暗号化すれば特定ユーザーのみ閲覧可能なので安心です。
冗長化が簡単に行える
Amazon RDSの設定では、アベイラビリティゾーンの配置を「シングルAZ配置」か「マルチAZ配置」から選べます。マルチAZ配置をオンに設定すれば、障害が発生した場合でも最新状態のデータベースが保護されます。マルチAZは、同期スタンバイレプリカが別のアベイラビリティゾーンで自動的にプロビジョニングされ、障害発生時にデータベースひとつにかかる負荷が分散される点がメリットです。
配置だけでなく容量の追加など、オンプレミアム型では容易に行えないシステムの冗長化を、Amazon RDSでは「オン・オフ」の切り替えのみで行えます。
まとめ
Amazon RDSは、世界中の企業で導入されているリレーショナルデータベースサービスです。選択できるエンジンは6種類あり、それぞれに機能や特徴が異なります。Amazon RDSは今後もさまざまな企業で利用される可能性があり、関連案件も増えるでしょう。
Amazon RDSに関する案件をお探しであれば、エンジニアの案件が豊富なFLEXY(フレキシー)がおすすめです。FLEXYでは、クラウドエンジニア(AWSメインのVMware 基盤の運用・保守など)の案件を中心として、AWSに関する一定の経験を有するエンジニアに向けた案件を取りそろえ、高単価や非公開案件も多数扱っています。AWSの実務経験を積みたい方は、ぜひお気軽にご利用ください。