Progressive Web Appsが変えるネイティブアプリ開発の世界

TL;DR この記事のポイント

  • ネイティブアプリは使ってもらうところまで大きな障壁があるため最近はスマホユーザーがほとんど新しいアプリをダウンロードしなくなってしまった。
  • 新しいアプリをダウンロードしないため、ほとんどのユーザーは5個くらいのアプリだけを使っている。
  • Progressive Web App (PWA)でアプリを開発することでアプリをスマホブラウザーの中配信することが可能に。
  • PWAはインストールもアップデートも一瞬で終わるためスマホユーザーにインストールの際に負担をさせない。スマホメモリの容量も消費しない。
  • AndroidではPWAはService Worker経由でオフラインの動作やpush通知が可能。
  • App Storeを経由せずにアプリを公開できるため、審査や決済手数料から開放される。

アプリの使われ方が偏ってきた

突然ですが最近アプリをスマホにダウンロードしました?してないですよね?

実はこれはごく普通なことなんです。

まずはアプリがあまり使われなくなったことを示す興味深い統計のご紹介を3つやりたいと思います。

Q1.あなたは平均すると、月にいくつくらいスマートフォンでアプリをダウンロードされますか。(1つ選択)

Q1.あなたは平均すると、月にいくつくらいスマートフォンでアプリをダウンロードされますか。に対する回答

出典:株式会社マーシュによるスマートフォンアプリに関するアンケート調査

月々のスマートフォンアプリのダウンロード数は「1~3つ」が最も高くて54.4%、全くダウンロードしていないユーザーの割合の26.7%を足すと81.1%。80%以上のユーザーが多くても月に3つのアプリしかダウンロードしていません。

Q3.現在、あなたがスマートフォンでよく利用している「ご自身でダウンロードしたアプリ」はおおよそいくつありますか。

Q3.現在、あなたがスマートフォンでよく利用している「ご自身でダウンロードしたアプリ」はおおよそいくつありますか。

出典:株式会社マーシュによるスマートフォンアプリに関するアンケート調査

「1~3」37.8%が最も高く、「4~6」30.3%、「7~9」12.2%と続き、合計すると80.3%になります。80%以上のユーザーが9つ以下のアプリしか普段使っていないのが分かります。

スマホ/タブレット別のアプリのローンチ数は減少傾向にある

スマホ/タブレット別のアプリのローンチ数は減少傾向にある

出典:Smartphones are driving all growth in web traffic

これはスマホとタブレット別でローンチされたアプリ数の統計ですが2016年1月から比べてスマホで22%タブレットで49%落ちています。

タブレットの落ちがひどいですね。多分タブレットはYoutubeやNetflix専用マシンになってしまったんでしょう。

ユーザーは既存のアプリばかり使うようになった

この様な統計から見えるのは一般的なスマホユーザーはそんなにいろんなアプリをダウンロードせずいつも使っているアプリだけ使っているのが分かると思います。

結論 -> 新規にアプリなんか作っても誰もダウンロードして使ってくれない。

スマホアプリがインストールされなくなった理由

img

Appleのプレゼンなどを見るとよくこんな絵が出てきてスマホユーザーはいろんなアプリを日々ダウンロードしながら使っているという事になっていますが、どうやらそうでもなさそうです。

では何がそうさせるのでしょうか?

理由その1:インストールがめんどくさい

アプリをダウンロードするには一般に6ステップ必要と言われています。

例えば友達とランチしていて「なんとかアプリが面白いみたいよ」という話になりその場でアプリをダウンロードしてみる場合:

  1. App Storeアプリを立ち上げる
  2. 聞いたアプリ名を検索して、アプリを見つける
  3. アプリの詳細ページを友達に見せて「このアプリだよね?」と確認する
  4. iTunesのパスワードを入力する(パスワードなんだったっけ…)。あるいは指紋認証。
  5. ダウンロードがスタート
  6. しばらくしてダウンロードが終了してアプリをクリックしてアプリスタート

めんどくさ!

よく使うかも分からないアプリをこんなステップ踏んで使えるようにしますね。

1ステップごとに20%ごと脱落するらしいので、1000人がこのアプリをダウンロードしはじめようとした場合

  1. 800人 (-20%)
  2. 640人 (-20%)
  3. 512人 (-20%)
  4. 410人 (-20%)
  5. 328人 (-20%)
  6. 262人 (-20%)

とステップ6までたどり着いてアプリを立ち上げる人は実に262人しかいないという計算になります。

こんな事いちいちアプリごとにやらなくてはいけないので、殆どの人が脱落してしまうんです。

理由その2:ギガも容量も減る

アプリをダウンロードするには時間も手間もかかりますが、当然ギガも減りスマホのメモリ容量も減ります。使うかどうか分からない100Mバイトのアプリをギガ減らしてダウンロードするのには相当覚悟がいりますね。

インドや東南アジアの一部の国などネットインフラが整っていない国ではこれはもっと深刻な問題で100Mバイトのアプリをダウンロードするのに平均月給の5%かかる場合もあるようです。

日本の月給が20万円とするとインスタアプリをダウンロードするのに1万円かかるみたいなイメージでしょうか。これでは誰も怖くてアプリをダウンロードできません。

理由その3:アプリを探しに行かない

最近App Store開いて面白そうなアプリを探しました?多分されてないと思います。

先日クライアントさんに仕事で必要なアプリをダウンロードしてもらうためにApp Store開けてくださいとお願いしたらそれなんですか?と聞かれました。

スマホを買った時にアプリを一通りインストールしてそれ以降はApp Storeなんか開かないというユーザーも多いようです。

じゃあスマホでアプリを使ってもらえるにはどうしたらいいの?

2015年の後半くらいからGoogleがProgressive Web App (PWA)という考え方を提唱しはじめました。

PWAは一言でいうとモバイルブラウザの中で動作するアプリです。

細かい説明は後にして、この下のURLのどれかをSafariなどのスマホブラウザからクリックしてみてください。

これらのどれもアプリのダウンロード必要なくブラウザ内でアプリが展開しているのが分かりますよね。でもアプリっぽい挙動をしてますよね。

このURLをクリックするだけで一瞬で始まるアプリがPWAなのです。

PWAの特徴

App Store経由でダウンロードするアプリはネイティブアプリ、ブラウザ内で動作するアプリはPWAとこの記事ではここから呼び分けています。

PWAはwebアプリなこともあり以下の様な特徴があります。『はじめてのプログレッシブ ウェブアプリ』を参考に列挙したいと思います。

PWAの特徴1:インストールが一瞬で済む

インストールはURLをブラウザに読み込むだけなので、先程説明したインストールの6ステップを踏まずに一瞬でアプリが起動します。

PWAの特徴2:アップデートも一瞬

ネイティブアプリの様にアップデート毎にアプリをまるまるダウンロードする必要なく常に最新のアプリが使えます。

PWAの特徴3:レスポンシブ

フォームファクタに関係なく、スマホでもタブレットでも、パソコンのブラウザ内でもコードを変更することなく動作します。

PWAの特徴4:オフラインでも動作

Service Workerを使うことで、ネットが切れたり不安定な状態でもPWAは動作し続けます。現在(2017年11月)Service WorrkerはAndroidスマホのみに対応しています。

PWAの特徴5:アプリ感覚

ネイティブアプリに近い操作性をもたせることができるので、アプリと同じ様に操作することができます。

PWAの特徴6:再エンゲージメント可能

PWAを閉じた状態でもプッシュ通知を送ることができ、ユーザーをPWAに呼び戻すことができます。この機能も現在Androidのみ対応。

PWAの特徴7:インストール可能

ユーザーが気に入ればアプリのリンクをネイティブアプリと同じようにホーム画面に残して置くことができます。

PWAの特徴8:リンク可能

URLを使って簡単に共有することができます。

App Storeを通さないことによるメリット

PWAはブラウザ内で動作するため、配信のために必要なものはブラウザだけ、App Storeの審査を通す必要はありません。

メリット1:App Storeの審査に落ちない

ネイティブアプリ開発者にとってApp Storeに審査に受かるまでは恐怖の連続です。

一旦審査に受かっても何らかの理由でその後審査に落ちてしまえばこれまでの苦労も水の泡…

PWAではApp Storeの審査に怯えることなくアプリを公開することが可能になります。

メリット2:App Storeでは扱えなかったアプリも公開可能に

アダルトやギャンブルなど特定のカテゴリーのアプリはこれまでApp Storeでは公開できませんでした。

そういった際どいもの以外にもiTunesの様な音楽配信や電子書籍アプリなど既にAppleがビジネスとして展開しているサービスを行うアプリも審査に通らないことが多いと聞いています。

PWAを使うことでこれまでにないカテゴリーのアプリでのサービス構築が可能になります。

メリット3:アプリ内課金の30%の決済手数料を大幅に下げれる

App Storeを通さないという言うことはアプリ内課金の際に30%の決済手数料を払わなくても決済可能になります。

PWAにStripeなどのカード決済を導入することで、3%程度の手数料で決済が可能になります。

まとめ〜PWAは確実に流行になっていくはず〜

ブラウザ内で動作するwebアプリととネイティブアプリのいいところ取りをしたものがPWAなのです。

Starbucksやtinderなどメジャーアプリは既にPWA化してますし、日本もこれから確実にこの流れが来るんじゃないでしょうか。


この記事を書いた人
天野 たけし
天野 たけし
カナダ・モントリオールのコンコーディア大学でComputer Scienceの学位を取得後日本国内でプログラマとして働く。 電通アベニューAレイザーフィッシュ (現:電通アイソバー)、PayPal Japan、自身のスタートアップNijuyonなどを経て現在はウクライナのフロントエンド開発会社Qualium Systemsの日本代表としてプロジェクトマネジメントや開発に従事。 https://qualium-systems.com/ Progressive Web AppsやGraphQLなどweb界隈の新しい技術を追いかけて紹介するのが得意。 またウクライナやインドなどの海外のアウトソース先との連携やプロジェクトマネージメントの手法についてもflexyブログ内で紹介していく予定。

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