IoTでビジネスを成功させる――エンジニアが語るIoTの基本と企業の現状

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最近は、法人様より既存ビジネスとIOT、従来の自社ビジネスとAIといったバズワードの組み合わせで戦略立案の案件をいただくこともあります。

そのため、そもそもIoTとはどういったモノを指すのか、開発にはどのような要素が必要なのか、ビジネスとして現在どのような動きを見せているのか?そんなIoTに関する基礎知識について、IoT開発に携わったエンジニアが事例を交えて今回はご紹介していきます。

あらゆるモノをネットワークに繋ぐIoT。どんなスキルを活かすことができる?

私は去年までIoTのスタートアップ企業に所属していて、ハードウェアチームを見ていました。
そもそもIoTとは、ヒト、機械、モノ、あらゆるものがインターネットに繋がった状態で情報のやりとりを行うことを指します。IoT関わる要素は通信、ハードウェア、AIなど幅広く、各分野の様々なスキルを活かすことができるのが特徴です。その中でも主要となるのはネットワークスキル、ハードウェアスキル、データ分析スキルの3つです。

<IoTにおいて必要な主要スキル>

■ネットワーク

ネットワークはIoTの超重要ポイントです。特徴を把握してベストなものを選びます。
最近話題のLPWAなど、技術革新が早い分野です。

主なネットワーク規格
・LoRa
・SIGFOX
・Bluetooth
・WiFi
・WiSUN
・ZigBee

ネットワーク選定のポイント
・通信距離(障害物) / 3G or Wi-Fi有無
・機器のサイズ
・必要な通信速度(通信頻度)
・利用できる電源 / 駆動期間
・機器の台数
・通信モジュール/GWの価格

■ハードウェア

センサ・回路・電源など、ハードウェアはIoTにとって欠かせない要素です。
・センサー
・回路
・電源
センサーには、赤外線(温度)、三軸加速度、焦電、湿度、照度、ジャイロ、気圧、AC電源、CO2センサ、圧電、磁気、音、接点、GPS、PM2.5、人感などがあります。

■データ分析

大量のセンサデータから、顧客への価値を見いだせるのがデータ分析の面白さです。分類、予測、レコメンドなどにAIを活用しています。
・分類
・予測
・レコメンド など
IOTセンサーグラフ

<IoTを構成する要素>

さらに、IoTを構成する要素としては以下の5つが挙げられます。
・センサー
・通信
・データ可視化
・データ分析
・データに基づくアクション

次の項目から、これらの要素をセンサー、通信、データ(可視化・分析・アクション)の3つに分けてご説明します。

センサー:IoTメーカーになるための第一関門

3Dプリンターなどの登場で、ハードウェア開発は簡単になり、誰でもメーカーになれる時代を迎えたと言われます。しかし、実際はどうなのかと言えば、「非常に大変だ」というのが現実です。
まず、センサーやセンサーを動作させるための筺体は非常に高コストです。私が以前担当したセンサーデバイスを作るために、1個あたり約120,000円かかりました。センサー自体は300円でも、センサーを接続している部分が20,000円、コネクタが4,000円など、各パーツが非常に高額です。ベンチャー企業がIoTデバイスを開発しようと思ったら、まず費用の問題に直面するでしょう。
しかもただ単に作るだけではありません。例えば農業分野においてセンサーデバイスを活用しようとするなら、デバイスを畑に置いておく必要がある。すると、費用をかけて製作したセンサーが泥まみれ、虫まみれになって、挙句の果てに除草剤を吹きかけられて返ってきます。

また、IoTはWebで完結するものではありませんから、必ず設備保全が必要であるという点も開発が難しいポイントの一つです。設置環境が高温になりすぎてセンサーが溶けてしまったり、逆に低温すぎたり…様々な要因が絡むことになるでしょう。
例えば私が担当した石垣島の農園にCO2センサーを設置する案件では、計測中にCO2数値に異常が出て、急遽沖縄に飛ぶことになりました。結局CO2発生機のそばにセンサーを置かれていたのが異常の原因だったのですが、何かあれば現地に行って確認をしなければならないというのは、やはり非常に手間がかかります。

通信:適材適所の選定がIoTの要となる

デバイスに応じてどのネットワークを選定するかは、IoTにおいて非常に重要なポイントです。通信距離、機器のサイズ、通信速度、駆動時間、必要な台数などの特徴を把握して、ベストなもの選択しなければなりません。
一時期はLoRaが「電波を50km飛ばせて、電池一つで9年持つ」という夢の規格だと言われて、多くのメーカーが注目しました。ところが、実際の現場で使用してみると3週間程度しか持たないなど実用面で厳しい点が多く、現在は徐々に下火になっています。
BluetoothやWifiはネットワーク規格としてはメジャーですが、電池持ちは普通です。SIGFOXは1日に24回の通信しかできませんが、その分電池は持つと言われていて、一長一短ということがわかります。現在はどの規格もバッテリーを強化する方向になっているのではないでしょうか。

通信の要素の中でも通信速度は非常に重要。LoRaやSIGFOXなどはLPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる無線通信技術を用いています。LPWAなら、とても小さなモジュールで、高頻度・低消費電力の通信を行うことが可能です。ただし、通信速度は非常に遅くて、インターネットの約1000分の1程度の速度です。写真データを1枚送信しようと思ったら、100回に分けて送る必要があります。ですから、その分「何を分析するデータとして送るのか」という部分の検討が大切になります。
温度センサーは電池持ちが良いが、CO2やGPSはその100倍の電力が必要など、デバイスによる違いもあります。
どのデバイスにどんな通信規格が適しているのかは、あらゆる視点から考えなければならないのです。

データ(可視化・分析・アクション):データ整備は意外とアナログ

IoTデバイスから送られたデータはゲートウェイと呼ばれるネットワークノードに集積されます。そこからインターネットを通じてネットワーク・サーバーに入り、波形などデータとして見られる形に変換。データベースに溜めて可視化します。
データ分析をするためには、GPU環境を活用します。ソースコードと学習済みモデルはGitで管理をして、センサーデータはMySQLに保存。モデルライブラリは分野ごとに応用できるようにしていました。また、現在分析基盤として利用できるものはTensorFlowやpython、jupyter、CUDAなどがあります。

■データ分析のために使用する技術の一例

・TensorFlow
・python
・jupyter
・MySQL
・scikit learn
・GUDA
・H2O.ai など

例えば50億件など膨大なデータがあった時には普通のサーバーでは対応できませんから、Treasure Data、Redshiftといったサービスなども利用します。
そうして分析したデータをもとに、例えば室内温度管理・制御や、モニタ表示など実際のアクションへとアウトプットしていくのです。

データ分析においてよく耳にするのは、「データ分析基盤を整備する」という工程ですが、これはデータ分析の環境づくりとはまた別の話。例えばあるデータのテキストエリアに「トヨタ」あるいは「TOYOTA」など複数の言い方で書かれていても、同じデータとして認識できるように整備することを言います。集積されていくデータを分析できる形にトランスファーする、ということですね。データクレンジングとも呼ばれますが、これは非常にアナログな作業です。
IOT-flexy

IoTをビジネスとして成立させる――企業の実情

結論から言うと、IOTをビジネスとして成立させるためには非常に優秀なITのプロフェッショナルが必要になります。そもそもIoTというだけで、優れたビジネスモデルを構築できているとすれば、現在IoT関連の上場企業はもっと出てきていいはずですよね。
上場企業の例で言えば、札幌のエコモット株式会社があります。この企業は除雪機にIoT機器を設置する、札幌ならではの堅実なビジネス展開をしています。それからJIG-SAW。実際にはデータ分析コンサルとしての側面が強い会社です。

私が体験した事例で言えば、ある企業の開発部門から受注を受けた時は、AIを利用して設備の95%の異常感知率を達成しました。これが事業部に導入されれば数億という利益を見込めるプロジェクトだったのですが、PoCの段階で頓挫。結局導入はされず、200万円の売上で案件は終了しました。
PoCとはProof of Conceptといって、いわゆる製品の実証実験です。PoCができたらサービスを実現化すると大企業は言うわけですが、多くの案件はこの段階で開発が止まってしまいます。IoTベンチャーはサービス化すれば何千万、何億円という売上を夢見て費用をかけてPoCを受けますが、なかなか実現化には至らないのが実情です。
この他にも、コスト面が見合わず開発が頓挫する例も多くあります。フィットネススタジオの室温度管理に関する案件があり、これも全国導入したら1,000台は販売できるという話でしたが、テスト運用半年でコストの折り合いがつかずに中止。半年間の開発費の請求も発生しませんでした。
これはテクノロジー系のスタートアップ企業によくあることなのですが、安価でも無料でも案件は受けて、事例づくりをしたかったという側面があることも関係しています。
IOT分析

IoTエンジニアとWebエンジニアに求められるスキルの違い

私はもともとWebエンジニアだったのですが、習得できるスキルがコモディ化している現状に行き詰まりを感じてIoT分野に足を踏み入れました。Webエンジニアという道だけで生きていても、スキル価値がつかないと感じたのです。
その点、IoTはハードウェアやデータ分析などの知識が必要になる。そこが自分のキャリア志向に刺さって参入した経緯があります。それが現在の仕事にも役立っていますね。
現在、「IoTエンジニアがほしい」という企業は多くなって来ています。Webエンジニアの場合は発想が完全にWebに閉じていますが、IoTエンジニアはAIをはじめ、外部のモノを取り込んだ仕組みを作れる人材、というのが私のイメージです。今日ご説明した通り通信についての知見も必要ですし、センサーやバッテリーなど、本当に様々な要因が絡んできます。
IoTの開発は難しいという話をしましたが、やってやれないということはありませんし、基本的には自己スキルアップができる楽しい分野なんです。

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この記事を書いた人
加来麻衣子
加来 麻衣子
flexy マーケティング
ハイスキルのエンジニアやCTOの方にインタビューしたり、flexyメディアの記事を書いています。 〜プロフィール〜2005年上智大学文学部哲学科卒業。オーストラリアからの帰国子女。大手人材会社を退社した後、IT分野で起業。31歳でハワイ現地法人を設立し、投資家兼経営者ビザで渡米。代表取締役として、ワイキキビーチ近くでリテールストアーの運営しながら、海外進出企業コンサルティング、グローバル人材育成の教育分野をハワイのオアフ島にて行う。3年間の海外生活を経て2017年7月にサーキュレーションに参画。Photoshop、Illustrator、Adobe Ae、JavaScript、HTML、CSS、PHPやります。

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